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見えないところでいろいろあります・・・ヘッドセット交換

カスタマイズ

今回はヘッドセット交換。

ベアリングの受けがフレームと一体型のインテグラルヘッドが主流になった今、ヘッドセットの交換はめったにやらなくなりました。昔の自転車は性能アップだけでなく、さり気なくオシャレするために、わざわざヘッドセットを変えたものです。ヘッド部分から少しだけ出たワンとその上のトップキャップ。見た目的にはこれだけなのですが、この少しだけ見せるチラリズムが自転車の色気をより引き出すのです。

さて、そんなソフトな前置は置いといて、いつものように油っこいハードな作業が本題です。

ヘッドセットの交換自体別に大した作業ではないのですが、このバイク、実はフロントフォークのコラムが厄介なのです。

ちょっと、ここでロードバイクのヘッドの変化の歴史を、①から③に分けておさらいしておきましょう。

①1990年代前半までは、1インチスレッドが主流だった。こういうやつですね。↓

今でもママチャリなんかはこれだが、自転車のヘッドはかなりの長きにわたってこの規格だった。ステアリングコラムが1インチで、コラムにネジ山(スレッド)がたっているので、1インチスレッドという。

ちなみにこの1インチヘッドはイタリアンとJISの2種類の規格があり、ほんのちょっとだけ寸法が違う。

②時は流れ1990年代後半、アヘッドが主流になり始める。

当時新しい規格だったわけではなく、MTBではもっと前からすでにアヘッドだったのだが、保守的なロードバイク界はこの規格を受け入れるのが遅かった。

今ではスポーツバイクはほとんどこれだが、このころはまだ1インチ規格のヘッドをそのままに、アヘッドのフォークを入れただけなので、今主流の1-1/8よりも細い。

構造上フロントフォークは、トップキャップとステムのクランプで固定されるので、コラムにねじ切りはなく、スレッドレスとも呼ばれる。

③さらに2000年以降、コラムの強度アップのために1-1/8インチが主流になり、上下のワンがフレームと一体型になったインテグレイテッドが主流になった。もはやこうなったら、外からヘッドパーツが見えることはないので、ちょっといいのに変えて楽しもうなんて概念はすっかりなくなってしまった。

問題は、①から③に進化する過渡期である②1インチアヘッドの時期なのだ。期間は数年間と非常に短く、なかなか関連パーツがないのが現状である。当時出始めたカーボンフォークは、コラム1インチのサイズで強度を確保するためにレッグはカーボン、コラムはスチールというのがほとんどだった。

本題に戻ろう。今回のこのロードバイク、まさに②の時期(というか、ほんとは時期的にもう少し後)のもので、1インチアヘッドである。イタリアンバイクらしく、ヘッドもイタリアンである。ここまでは別にいいのだが、1インチのコラムがカーボンなのだ。少し珍しいが、ここまでもまあいいだろう。問題はコラム内径である。

前述したように、1インチコラムは強度を確保するために、当時カーボンフォークでも、コラムは主にスチールが使われていた。このカーボンコラムは強度を確保するためなのか、かなり肉厚。1インチ(25.4mm)カーボンコラムの内径は通常約20mm。しかしこのコラム内径、実測18mmちょっとしかない。

カーボンコラムの場合、コラムの中にエクスパンションナット(アンカーナットともいう)を入れるのだが、これが入らん・・・。

↓アルミやスチールのコラム(左)にはアンカーナットを打ち込むが、カーボンでそれをしたら割れてしまう。なのでカーボン(右)の場合、ネジをしめてウスを押し上げ、コラムの中でグアーっと広げて固定するエクスパンションナットを入れる。

ちなみにネジは緩むので、カーボンコラムはたまにここの締め付けを確認する必要がある。緩むと、エクスパンションナットが上に上がってきて、ヘッドにガタが出る。

6角のボルトを回して固定し、さらにその中にあるネジ穴にネジを入れてトップキャップで固定する。

接着するものなどもあるが、だいたいこの構造。

ただし、後述するが、1インチのエクスパンションナットは細いので、固定するためのこの6角ボルトの中にトップキャップのためのネジ穴をあけるスペースがなく、この構造にはできない。あくまで1-1/8以上のヘッドの場合だ。

ただでさえ1インチコラム用のエクスパンションナットなんて、かな~りチョイスが少ないのだが、その中で加工すれば入るだろうというのを選んで、それを削ることに。

小さくなったぶんウスも角度をつけといてと・・・。

ふう、なんとか収まった。

このバイクのイタリア老舗メーカーCOLNAGOさん、アヘッド1-1/8が主流になった当時、いつまでも頑なに1インチにこだわっていた記憶があります。散々こだわったわりに、今では1-1/8になってるところが説得力に欠けますが、保守的でありながらも1インチカーボンコラムで強度を確保するにはどうしたらいいのか熟考した結果、この厚みになったのでしょう。さっさと1-1/8に大径化すればよかったのに・・・と、私凡人は思いますが、その時代に左右されないストイックなモノづくりがCOLNAGOの魅力なのかもしれません。

余談ですが、実はこのバイク、数年前に私が組んだのだが、その時も純正のヘッドセットはついておらず、HIRAMEのエクスパンションナットを旋盤で削って取付。

コラムの中で固定するボルトが本体中央の穴の中にあって、トップキャップのネジ山は本体上部外側にある。1インチだと細いので、こういう構造。なので、トップキャップはこれ専用。

今回使用したTNIのものは、ウスを押し上げるネジとトップキャップのネジが同じになっている。しかしトップキャップは玉あたり調整も兼ねているので、ガン締めはできない。なのでバネを入れて常にウスを引き上げる構造になっている。いろいろあるな~。

今回ヘッドセットをCHRIS KINGに交換するにあたって、オーナーが同じCHRIS KINGのトップキャップをつけることを切望したので、再びこの作業になった次第です。

トップキャップそのままでよければ、この作業はなかったのですが・・・。

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